今回事例を教えていただいた方

工藤 美和 さん
- JCCA認定マスタートレーナー・A級講師・ひめトレ教育トレーナー
- コンディショニングサロン コア・ナチュレ 代表
「“姿勢”と“動き”を整え自然で生きやすい身体へ導く」が信条。九州を拠点に後進育成の講演・セミナーに尽力。コアコンディショニングを教育・医療・企業のメンタルヘルス指導に導入し好評を得ている。
コア・ナチュレのHP:http://core-nature.com
解剖学を理解し伝えることでクライアントの「納得」が増す

姿勢の安定や呼吸など、私たちの生活にインナーユニットの働きはなくてはならないものになっています。
インナーユニットとは体幹部にある、姿勢の安定や呼吸に関わる筋群の総称を言います。具体的には、腹横筋・横隔膜・骨盤底筋群・多裂筋から構成され、JCCAでは狭義のコアと定義しています。
その中でも骨盤底筋群は、
- 姿勢の安定化
- 骨盤内臓器の保持
- 排出
- 生殖
などの重要な働きを担っています。
また、骨盤底筋群は筋肉の構造において性差がある部位です。そのため、解剖学の基礎知識を理解することで、男女それぞれの特徴に合わせた說明や指導ができるようになります。
一般の方の多くは骨盤底筋群の重要性について全てを理解しているわけではありません。なんとなく大事なものだと認識はしているものの、なぜ骨盤底筋群が大事なのか、どのようにトレーニングをすれば良いのか分からないのです。
私が現場でこの重要性についてお伝えするときによく使うのが、人類の進化による骨盤底筋群の役割についてのお話です。
骨盤底筋群はもともと負荷がかかっていなくてよかった部分でした。それが人類の進化の過程で四つ這いから立位に変化したとき、様々な臓器の重みを骨盤底筋群が支えるようになったため負荷がかかるようになりました。結果としてカラダを保護し安定を保つために、より重要な役割を担うようになったのです。
このようにストーリーを交えて話すと「大事にしなきゃ」と思ってくれる方が多いです。
重要性が明確になることで体への意識と変化が現れやすくなると思うので、指導者が解剖学を理解してクライアントに分かるように伝えることは大事だと思います。
骨盤底の構造を伝える時のポイントは◯◯◯◯を使わないこと

現場で解剖学の知識を元に骨盤底の構造を伝える場面が多くありますが、その伝え方には注意を払っています。
クライアントが解剖学について難しく捉えてしまい、苦手意識を持っている方が多いのです。
セミナーなどで学んだことを現場で活用するときに配慮しているのは専門用語をなるべく使わずに噛み砕き一般の方でもわかるような言葉を使って說明・指導をすることです。
例えば指導者にとって普通の言葉である“股関節”も人によってはイメージしている場所が違う場合があります。そのため、足の付け根などと表現を変えてクライアントが意識する場所以外にクエスションマークがつかないように言葉を選んでいます。
特に、個別ではなく集団指導になると一人一人の知識にはばらつきが出るので、参加者の反応を見ながらイメージの共有をしています。
クライアントの理解を深めるには視覚・触覚アプローチが大事
クライアントに骨盤底の構造を理解してもらった上で実際に体を正しく動かしてもらうためには、感覚をつかんでもらい出力とイメージをすり合わせることが大切です。そこで感覚を深めるために、ひめトレなどのツールや手を使った感覚入力を行うようにしています。骨盤底筋群に触ることによって意識しやすくなるからです。
私は、個人指導と集団指導では視覚情報の伝え方を使い分けています。例えばマンツーマンで指導をする場合は、 骨盤模型を用いて坐骨や尾骨などの位置を3Dで見える化し骨盤底筋群の構造や位置を伝えています。
一方で集団指導をするときは、パソコンのデータをプロジェクターで投影して一度に多くの人が見られる環境を用意しています。

▲プロジェクターと骨盤模型の合わせ技です▲
プロジェクターが使えない環境では、骨盤ナビという本を見せて意識してもらうようにしています。この本に載っている骨盤底のイラストはとてもわかりやすく見やすいので、持ち歩き必要に応じて活用しています。
その他にも、実際に解剖学的な動きを意識してもらうこともあります。例えばひめトレベーシックのバードエクササイズでの肩甲骨の動かし方は、実際に動いているかをペアで触って確認し合いながら正しくエクササイズができるように取り組んでいます。
工藤さん、ありがとうございました。
骨盤底筋群の基礎解剖と、機能を引き出すエクササイズの指導法を学びたい方はひめトレベーシックセミナーの受講がオススメです。
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